2011年6月30日木曜日

論文紹介

6月30日、今日はKT君の論文紹介。Cloern J.E. and A.D. JassbyのPatterns and scales of phytoplankton variability in estuarine-coastal ecosystems (汽水・沿岸生態系の植物プランクトン変動のパターンとスケール)だ。汽水・沿岸域の植物プランクトンの時系列データを集め、比較したものだ。たぶん以前誘ってもらったがいけなかったワークショップの結果かと思われる。著名な著者だが長い文章ばかりで1回ではとても終わらない。英語の苦手なKT君はこのところずっと頑張ってきて、厳しそうだが少しずつはなれてきているようだ。

2011年6月27日月曜日

NOWPAP打ち合わせ

21日はNOPWAPの打ち合わせをするために、NPECの寺内さん、辻本さんとイデアが来た。NOWPAP海域の環境リモートセンシングの統合報告書と富栄養化状況報告書のまとめ方や、今後の進め方について話をした。
夕方は7月の東シナ海での長崎丸航海に関して研究室で打ち合わせを行なった。

2011年6月25日土曜日

小笠原世界遺産登録

 6月24日に小笠原が世界自然遺産に登録された。小笠原には大学3年になった時だから30年前に、まだ研究者になるかどうかもわからないころに行っている。今は25時間で行けるようだが、私が行った時の小笠原丸は48時間かかった。48時間かかる小笠原丸の最後に乗り込んだ乗客は私たちだった。
 主に陸域生態系の貴重さから登録されたようだが、筑波大の海洋研究会に所属していた私たちの興味はもっぱらダイビングと釣りだった。まだまだ何も制限のない中、漁師さんは八丈宝貝を十以上もとらせてくれたり(ほとんどは海にもどした)、メジナを何十匹も釣らせてくれた(こちらは胃袋に)。50cm以上のフエフキダイとアカハタは冷凍してもってかえって食べた。何とも今から考えるとひどいことをしたものであるが、当時はまだ観光客もずっと少なかったからできたことだ。1週間の滞在予定を伸ばして2週間、学生でなければできない何ともゆったりした時間をすごした。
 また一緒には行っていないが、ダイビングクラブの先輩の渋谷さんは大学卒業後、小笠原に永住を決め村役場に勤めていて、昨日は係長としてテレビにも出演していた。おそらく彼が世界遺産登録にも頑張ったのだろう。テレビで見る限り、二見湾も南島は30年前から今も変わっていないようだ。ぜひこの自然をずっと残して欲しい。そう言えば今、自然保護協会の開発さんも一緒にいった仲間だ。

2011年6月20日月曜日

名古屋-釜山-福岡-下関-青島-名古屋

16日から20日までエチゼンクラゲ関係で、釜山と青島へ。
 釜山はPICESの日本海現状報告の執筆に関する会議だ。この報告書は日本海の呼称問題もあって、昨年秋にPICESが出版した報告書から落ちてしまった曰くつきだ。CREAMS-APで日韓露の6名(石坂、蒲生、Kuh Kim, CK Kang, Lovabov, Zuenko)からなるグループが結成されて、執筆作業について議論した。CREAMS-APまとめ役のKR Kimさんは始めるだけでさっさと帰ってしまった。私は一次生産関連について執筆することに、エチゼンクラゲもしっかりとハイライトになることが決まった。ロシアのウラジオストックでも2002年ぐらいからエチゼンクラゲがよく見つかったそうだ。結局呼称問題は今回は棚上げで、とりあえず報告書を作ることに専念することに。あとはPICESの政府レベルで議論してもらうという韓国人(Kuh Kim)の言うことも筋が通っている。
 場所は、以前も泊まったことのある海雲台(ヘウンデ)のNovotel Ambassador ホテルだ。朝偶然(?)旧友のYS Suhさんと会うことができた。昼と夜は韓国人持ちではフグとバイキングに。バイキングで発酵させたエイ肉(ホンオチム)を食べる。噂にはかねがね聞いていたが。まずそのまま、確かにくさい。どうやって食べるのか聞いたら、豚肉等に重ねて食べるということで食べてみると臭みもほとんど無くなり、軟骨のコリコリ感がそれなりにおいしい。結構いけるではないか。
ホテルからヘウンデ海岸。
あまり人が写っていないが、夜中でもたくさんの人でにぎわっていた。

 18日朝早く福岡経由で下関にいき、広島大学の上先生のやっているエチゼンクラゲのフェリー目視観測に同行。院生のXYJも一緒だ。結構大きくて快適な船だ。船員さんたちも皆さん親切だ。九州近くはミズクラゲが結構いる。夜光虫の赤潮も。その後対馬暖流。19日になって黄海に入って、怪しい雰囲気だったが、結局エチゼンクラゲは見当たらない。やはり黄海・東シナ海の水温が今年は(も)低いためだろうか。青島に近づくと2008年のオリンピックで問題となったアオノリがかなり浮いていた。エチゼンクラゲもこれと一緒に移動するのだろうか。

夜光虫(色素のない渦鞭毛藻の仲間)の赤潮
アオノリの海をゆく
 宿泊は国家第一海洋研究所のある老山区のBlue Horizon (藍海)Hotelに。ここも以前CREAMS-APで宿泊したことがある。松本先生から紹介されていた若い中国人Rao Xianbingさんと会う。何と今度7月の長崎丸航海に乗ってくる中国海洋大学のXu Bochaoさんと友達だったので彼にも会うことができた。二人とも熱心で東シナ海の環境と衛星の利用について議論する。お昼はRaoさんのボスで名古屋大学で修士をとったJiaye Zangさんと。青島の海産物をたっぷりと(アサリやマテガイ、シャコなどなど)。今回は食べられなかったがが、中国はヒトデも食べるようでお店に並んでいた。Zangさんは、日本が懐かしいようで日本の研究をほめていたが、中国もすでに少なくとも機械では日本どころではない。研究所には高価な機械がずらっと並んでいた。あいかわらず中国ではこのブログが見れない。

2011年6月15日水曜日

伊勢湾観測1106

6月14・15日は三河湾・伊勢湾に観測に、初日はやや波があった。プランクトンサンプルを見ると、多くはSkeletonemaと呼ばれる、沿岸の代表的な珪藻がほとんどだが、蒲郡の沖だけが渦鞭毛藻が優占指定していた。木曽三川河口はさすがに泥で濁っていた。

2011年6月10日金曜日

赤潮予算調査

6月10日は赤潮プロジェクトの昨年度の予算調査があった。文部科学省から担当官が名古屋大学を訪問し、昨年度の予算が適正に利用されたかを確認した。初めに研究内容を私が簡単に報告し、その後研究面の記述の確認と予算面の確認があった。研究面での確認では計画通りに研究が行なわれたかどうか、行なったことの記述が正確に行なわれたかどうかを確認された。また研究面の確認では、プロジェクトでの雇用に関わる年給の問題と、プロジェクト雇用でのPDと私が同じ赤潮調査に別々の予算で参加したことへの質問があった。
 驚いたのは赤潮調査に関しては、担当官がこのブログのプリントを持っていたことだ。面白いといってくれたのはよいが、そこでの記述をもとに確認されるとは。やましいことはしていないつもりではあるが、驚いて返答に窮した。私の研究のほとんどはもともと税金だったものを使っているため、その使用法がしっかりしていないといけないことは確かで、それを確認されたり、説明したりすることも必要であろう。あまりぎちぎちやられるのは困るが、今回の調査は研究を理解して指導的な観点で行なってくれたのでありがたかった。

2011年6月7日火曜日

富山湾プロジェクト会議

6月6日は富山湾プロジェクトの会議で富山に。私は前回話損ねた分光データから求めた潜在的光学特性に関して、NPECの寺内さんが雲の影響を考慮したクロロフィルと河川流量の関係、辻本さんが栄養塩比と植物プランクトン群集のことを話した。NOWPAPの動きをにらみながら今後の新たな方向性を考えていかなければならない。富山湾プロジェクトの成果に基づいて作成した手順書を利用した、NOWPAP海域の富栄養化評価は、各国での評価結果が出てきて、順調に進んでいるようだ。次は全体をまとめた統合報告書を作らなければならない。

その後は、「だい人」で富山の魚と日本酒。あじとのどぐろが絶品。「一条」で山菜料理。

2011年6月4日土曜日

ゼミ

 6月3日はSTさんの論文発表ゼミ。Takahashi ら(2009) Detecting red tides in the eastern Seto Inland Sea with satellite ocean color imagery. J. Oceanogr.(衛星海色画像を用いた東瀬戸内海の赤潮の検出)だ。この論文は、私も一緒にやっていた振興調整費のプロジェクトの成果として発表されたものだ。基本的には日本の優れた赤潮観測網のデータと海色衛星データを対応させ、赤潮のスペクトルを判別するというものだ。現在われわれの大分沖の赤潮プロジェクトの手法もかなりこれに近い方法をとっている。
 赤潮プロジェクトのホームページhttp://redtide.hyarc.nagoya-u.ac.jp/では、最近有明海の赤潮分布も公開し始めたが、有明海は瀬戸内海と比較して濁っているため、少し工夫しないと難しそうだ。
 その後は、現在水循環研究センターに客員で来られているスイスのOhmura Atsumu先生の講演もあった。大村先生は地球規模のエネルギー収支をやられている。単純な黒体地球のバランスでの温度(-18度)を温暖化がない時と呼ぶべきではないとのこと。私も授業でずっとそう言っていたのでやや反省。また、精度のよい観測を長年続けることの重要性もうったえられた。

東シナ海研究集会2011

 6月2日は東シナ海の研究集会を開催した。これは水循環研究センターの共同利用の一環で公募されたもので、今年も九州大学の松野先生に申し込んでもらった。主に7月の長崎丸による東シナ海航海のこれまでの成果と今年の計画を話し合った。初めに新しいセンター長の中村に挨拶をもらい、九大の松野、遠藤、千手、名古屋大の石坂、鋤柄、森本、高橋(現在中央水研)、長崎大の梅澤、武田、愛媛大の郭が発表した。
 私は昨年の航海の概要を話した。これまでの何回かの観測と同様に、NP比の分布がきれいに分かれていた。また衛星と比較するとかなり複雑な分布をしており、それと植物プランクトンの群集構造もある程度対応していそうだった。昨年の航海で新しく行なった鋤柄さんの沈降粒子測定や武田さんのケイ酸塩の連続分布やシリカの取り込み、森本さんの台風のシミュレーションなどの結果が興味深かった。乱流から見積もった栄養塩フラックスと沈降粒子が大体つりあっているのも面白い。今年の航海に向かって、さらに内容をつめていく必要がある。
 すぐに帰る人もいたので、懇親会は空港に近い金山のどて家、二次会はアスナルのおしゃれな沖縄料理どなんちで。一次会には名城大の中田さんも参加してくれた。